我慢できない尿意を引き起こす過活動膀胱とは
水を飲んでからすぐに、急に我慢できないほどの強い尿意に襲われる。時にはトイレまで間に合わず、漏らしてしまうこともある。こうした症状に悩まされている場合、「過活動膀胱(OAB)」という病気の可能性があります。過活動膀胱は、膀胱に尿が十分に溜まっていないにもかかわらず、膀胱の筋肉(排尿筋)が本人の意思とは関係なく勝手に収縮してしまう病態です。これにより、「突然訪れる、我慢できない強い尿意(尿意切迫感)」が最も特徴的な症状として現れます。多くの場合、日中に8回以上トイレに行く「頻尿」や、夜間に排尿のために1回以上起きる「夜間頻尿」を伴います。原因は完全には解明されていませんが、加齢に伴う神経系の変化や、脳卒中やパーキンソン病などの脳血管障害、脊髄損傷などが原因で、排尿をコントロールする神経の働きが乱れることが一因とされています。また、男性の場合は前立腺肥大症が原因となることも少なくありません。しかし、多くは明らかな基礎疾患がなく発症します。診断は、症状の詳しい問診や、排尿日誌の記録、尿検査、超音波検査による残尿測定などで行われます。治療の基本は、生活習慣の改善から始まります。具体的には、水分摂取のタイミングや量を調整する、利尿作用のあるカフェインやアルコールの摂取を控える、骨盤底筋を鍛えるトレーニング、そして膀胱に少しずつ尿を溜める習慣をつける「膀胱訓練」といった行動療法です。これらの方法で改善が見られない場合には、膀胱の異常な収縮を抑える抗コリン薬やβ3作動薬などの薬物療法が選択されます。我慢できない尿意は生活の質(QOL)を大きく下げるため、一人で悩まず専門医に相談することが解決への第一歩となります。