小さなお子さんの下まぶたがぷっくりと赤く腫れているのを見ると、親御さんとしては非常に心配になることでしょう。子供は大人と比較して、ものもらい、特に細菌感染が原因である麦粒腫になりやすい傾向にあります。その最大の理由は、衛生観念がまだ十分に発達しておらず、汚れた手で無意識に目をこすってしまう機会が非常に多いからです。公園の砂場や園庭で遊んだ後、泥や砂がついたその手で目を触ってしまい、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌に感染してしまうケースは後を絶ちません。また、子供は免疫機能がまだ未熟なため、大人であれば問題にならない程度の細菌でも炎症を起こしやすいのです。お子さんのまぶたに腫れや赤み、痛がるそぶりといった症状を見つけたら、まずは速やかに眼科を受診させることが最も重要です。特に乳幼児の場合、炎症がまぶたの奥、眼球の裏側まで広がってしまい、「眼窩蜂窩織炎(がんかほうかしきえん)」という重篤な状態に進行することが稀にあります。これは視力障害に繋がる可能性もあるため、自己判断で市販薬を使用したり様子を見たりするのは絶対に避けるべきです。家庭でのケアとしては、まず何よりもお子さんに目を触ったりこすったりしないように、根気強く言い聞かせることが大切です。目やにが出ている場合は、ぬるま湯に浸した清潔なガーゼやコットンを使い、目頭から目尻に向かって一方向に優しく拭き取ってあげてください。治療は主に抗菌作用のある点眼薬や眼軟膏が中心となりますが、お子さんへの点眼は一苦労です。嫌がる場合は無理強いせず、二人で協力して、一人が優しく抱きかかえ、もう一人が素早く点眼する、あるいは遊びの延長と見せかけたり、眠っている間にそっと点眼したりするなどの工夫が必要です。ものもらいは、はやり目(流行性角結膜炎)とは違い、他人にうつる病気ではないため、基本的には学校や保育園を休む必要はありませんが、プールは医師の許可が出るまで控えましょう。親の冷静な対応と専門医との連携が、お子さんの目の健康を守る鍵となります。