つらい不眠の症状を根本的に改善するためには専門医の助けが必要な場合もありますが、日々の生活の中で自分自身でできる睡眠の質を高めるための工夫も非常に重要です。薬だけに頼るのではなく生活習慣を見直し眠りを妨げる要因を一つずつ取り除いていくこと。それが健やかな眠りを取り戻すための土台となります。ここでは今日から始められる効果的なセルフケア「睡眠衛生指導」のポイントをいくつかご紹介します。まず最も基本となるのが「睡眠のリズムを整える」ことです。毎日できるだけ同じ時刻に起床し同じ時刻に就寝することを心がけましょう。休日でも平日の起床時刻との差を2時間以内にとどめるのが理想です。そして朝起きたら必ず太陽の光を浴びること。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜自然な眠りを誘うホルモン「メラトニン」が分泌されやすくなります。次に「寝室の環境」を見直しましょう。寝室は眠るためだけの静かで暗く涼しい空間にすることが大切です。スマートフォンやテレビなどを寝室に持ち込むのはやめましょう。画面から発せられるブルーライトは脳を覚醒させメラトニンの分泌を抑制してしまいます。寝る前の1時間はデジタルデバイスから離れ読書やヒーリング音楽を聴く、アロマを焚くなど心身がリラックスできる入眠儀式を持つのがおすすめです。また「食事」や「飲み物」にも注意が必要です。就寝前の3時間以内には食事を済ませるようにし胃腸に負担をかけないようにします。カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶は覚醒作用があるため午後以降は避けた方が賢明です。寝酒としてアルコールを飲む人もいますがアルコールは寝付きを良くする一方で睡眠の後半部分を浅くし中途覚醒の原因となるため逆効果です。そして「適度な運動」も質の良い睡眠には不可欠です。日中にウォーキングなどの有酸素運動を30分程度行うと、心地よい疲労感がスムーズな入眠を助けてくれます。ただし就寝直前の激しい運動は交感神経を興奮させてしまうため避けましょう。
眠れない夜を乗り切るためのセルフケア