トイレが異常に近い、水を飲むとすぐに尿意をもよおすが、いざトイレに行っても少量しか出ない。そして排尿後もスッキリせず、下腹部や膀胱あたりに不快感や重苦しい痛みが残る。このような症状がある場合、「間質性膀胱炎」という慢性的な病気の可能性があります。これは、細菌感染が原因ではないにもかかわらず、膀胱の粘膜に炎症や機能障害が起こる病気で、近年では膀胱痛症候群とも呼ばれています。一般的な細菌性膀胱炎とは異なり、尿検査をしても細菌が見つからず、抗生物質を服用しても効果がないのが特徴です。原因はまだ完全には解明されていませんが、膀胱の粘膜表面を覆って尿の刺激から壁を守っているグリコサミノグリカン(GAG)層というバリア機能が何らかの理由で損傷し、尿中の刺激物質が膀胱の壁に浸透して神経を刺激することで、痛みや頻尿を引き起こすのではないかと考えられています。症状は個人差が大きいですが、尿が溜まってくると膀胱や下腹部、尿道、骨盤周辺に痛みや圧迫感を感じ、排尿するとその痛みが一時的に和らぐというサイクルを繰り返すことが多いです。このため、患者は無意識のうちに痛みを避けるため、尿が溜まる前に頻繁にトイレに行くようになります。診断は、症状の問診に加え、他の病気を除外するための尿検査や超音波検査、膀胱に水を入れて痛みや反応を見る膀胱水圧拡張術を伴う膀胱鏡検査などが行われます。治療は一筋縄ではいかず、食事療法(酸性度の高い食品やカリウムを多く含む食品、香辛料などを避ける)、理学療法、薬物療法(鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬など)、膀胱内に薬液を注入する治療などを組み合わせて行います。難治性で長く付き合っていく必要のある病気のため、泌尿器科の専門医への相談が不可欠です。