背中の痛みで最も多くの人がお世話になるのが整形外科です。整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、神経といった「運動器」に関わる病気や怪我を専門とする診療科であり、背中の痛みの原因の多くがここに集約されます。では、どのような背中の痛みであれば、まず整形外科を訪れるべきなのでしょうか。その判断基準となる特徴的な症状や状況があります。まず、痛みの原因やきっかけがはっきりしている場合です。例えば、「重い荷物を持ち上げてから痛くなった」「スポーツで体を捻ってから痛む」「長時間同じ姿勢で作業をしていたら痛くなった」など、特定の動作や負担が原因で痛みが生じた場合は、筋肉や筋膜の損傷(筋筋膜性腰痛症、いわゆるぎっくり背中)、あるいは椎間関節の捻挫などが考えられます。また、痛みが体の動きと連動している場合も整形外科の領域です。「体を前に曲げると痛い」「後ろに反ると響く」「起き上がる時に激痛が走る」といったように、特定の姿勢や動作で痛みが強まったり、逆に楽な姿勢があったりするのは、運動器系のトラブルの典型的なサインです。さらに、痛みだけでなく、足のしびれや麻痺、感覚の鈍さ、足に力が入らないといった神経症状を伴う場合は、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の可能性が高まります。これらの病気は、背骨(脊椎)の中にある神経が圧迫されることで発症し、専門的な診断と治療が必要です。高齢者の場合は、特に強いきっかけがなくても、転倒したり尻もちをついたりした後に痛みが続く場合、骨粗鬆症を背景とした脊椎の圧迫骨折を起こしている可能性も考慮しなければなりません。これらのように、痛みが動作に関連し、明らかな原因があり、特に神経症状を伴う場合は、自己判断でマッサージなどに行くのではなく、まずはレントゲンやMRIといった画像検査が可能な整形外科を受診し、正確な診断を受けることが根本的な解決への第一歩となります。
整形外科を受診すべき背中の痛みの特徴