下まぶたにものもらいができてしまった時、まず取るべき行動の基本は「眼科を受診する」ことです。専門医による正確な診断のもと、適切な治療を受けることが、最も安全かつ確実な回復への近道です。眼科では、ものもらいの種類に応じた治療が行われます。細菌感染が原因の「麦粒腫」の場合、治療の主役は抗生物質です。細菌の増殖を抑えるための抗生物質入りの点眼薬や、より長く効果が留まる眼軟膏が処方されます。炎症が強い場合や、内服薬で体の中から菌を叩くこともあります。膿が溜まって腫れや痛みがピークに達した場合は、医師の判断で、局所麻酔をした上で小さく切開し、膿を排出させる処置(切開排膿)を行うことがあります。これにより痛みや腫れが劇的に改善することが多くあります。一方、マイボーム腺の詰まりが原因の「霰粒腫」で、痛みのないしこりの場合は、まず炎症を抑えるためのステロイド点眼薬や軟膏が用いられます。しこりが大きく、薬で改善しない場合には、しこりに直接ステロイドを注射して萎縮を促したり、局所麻酔下でまぶたの裏側から切開して内容物を掻き出す手術(霰粒腫摘出術)を行ったりします。では、市販薬はどのような場合に使えるのでしょうか。市販薬の使用が考えられるのは、ごく初期の麦粒腫で、症状が赤みや軽いかゆみ程度に留まっている場合に限られます。市販の目薬には、抗菌成分であるスルファメトキサゾールなどが含まれており、細菌の増殖を抑える効果が期待できます。選ぶ際は、必ず「ものもらい・結膜炎用」と明記されているものを選び、購入時には薬剤師に相談するとより安心です。ただし、市販薬には限界があることを理解しておく必要があります。2〜3日使用しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合には、直ちに使用を中止し、眼科を受診してください。また、痛みのないしこり(霰粒腫)には市販の抗菌目薬は効果がありません。治療中はコンタクトレンズやアイメイクを中止し、十分な休息をとって免疫力を高めることも大切です。冷やすか温めるかについては、痛みや熱感がある急性期は冷やし、痛みが引いた慢性期のしこりには温めるのが良いとされますが、これも自己判断せず医師の指示に従うのが賢明です。治療の基本は専門医の診断にあることを忘れず、適切な医療を選択しましょう。
下まぶたのものもらい治療法と市販薬の正しい選び方