立ち上がった瞬間にクラっとする、目の前が暗くなる、あるいは少し動いただけでも息切れがしてふらつく。このようなタイプのふらつきは、全身に血液を送り出すポンプである心臓や、血管系のトラブルが原因である可能性があり、その場合は「循環器内科」が専門の診療科となります。最もよくあるのが、「起立性低血圧」による立ちくらみです。横になったり座ったりしている状態から急に立ち上がると、重力によって血液が下半身に溜まり、心臓に戻る血液量が一時的に減少します。通常は自律神経が素早く反応して血管を収縮させ、血圧を維持しようとしますが、この調整がうまくいかないと、脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみやふらつき、時には失神を引き起こします。自律神経の乱れや、脱水、特定の降圧薬の副作用などが原因となります。循環器内科では、横になった状態と立ち上がった後の血圧を測定することで診断します。また、心臓そのものの病気も、ふらつきの重要な原因となります。特に注意が必要なのが「不整脈」です。脈が極端に遅くなる「徐脈性不整脈」では、心臓から送り出される血液量が減少し、脳への血流が慢性的に不足するため、常にふらふらしたり、労作時に息切れがしたり、失神発作を起こしたりします。逆に、脈が異常に速くなる「頻脈性不整脈」でも、心臓が空打ち状態になってしまい、結果的に全身への血液供給が滞って、動悸と共にふらつきを感じることがあります。これらの不整脈は、心電図や24時間心電図(ホルター心電図)で診断します。さらに、「心臓弁膜症」や「心不全」といった、心臓のポンプ機能そのものが低下している状態でも、体を動かした際に必要な血液を十分に送り出せず、息切れやふらつきが生じます。心エコー(心臓超音波)検査で心臓の動きや弁の状態を詳しく調べることで診断が可能です。このように、立ちくらみや労作時の息切れを伴うふらつきは、血圧や心臓の問題が隠れているサインです。放置すると重大な事態に繋がりかねないため、循環器内科を受診し、原因を特定することが大切です。