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今日から始める下まぶたのものもらい徹底予防法
下まぶたにできる痛くて煩わしいものもらいは、実は日々の生活習慣を見直すことで、その発生リスクを大幅に下げることが可能です。ものもらいを寄せ付けないためには、外的要因のブロックと内的要因のケア、この二つのアプローチが非常に重要になります。最も基本的ながら効果的なのは、外的要因、すなわち細菌の侵入経路を断つことです。何と言っても目の周りを常に清潔に保つことが鉄則です。私たちは一日のうちに無意識に何度も手で目をこすったり触ったりしていますが、その手には目に見えない無数の細菌が付着しています。石鹸と流水で30秒以上かけて指の間や爪先まで丁寧に洗う、正しい手洗いを習慣づけましょう。特にコンタクトレンズを使用している方は、レンズの着脱前には必ずこの手洗いを行い、清潔な状態で扱うことを徹底してください。レンズケースも毎日洗浄・乾燥させ、保存液は継ぎ足さずに交換することが必須です。また、女性の場合はアイメイクの方法も見直しましょう。まつ毛の生え際の内側、粘膜部分にまでアイラインを引く行為は、マイボーム腺の出口を物理的に塞いでしまい、霰粒腫の原因や細菌感染の温床となり得ます。メイクは一日の終わりに専用のリムーバーで確実に落としきり、ブラシやチップなどの道具も定期的に洗浄・交換して清潔を保ちましょう。次に、内的要因のケア、つまり免疫力の維持です。慢性的なストレス、疲労、睡眠不足は体全体の免疫力を低下させ、普段は問題にならない常在菌に対する抵抗力を弱めてしまいます。質の高い睡眠を確保し、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。特に、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンAやビタミンB群、免疫機能をサポートするビタミンCや亜鉛などを積極的に摂取すると良いでしょう。さらに、積極的なまぶたのケアとして「温罨法(おんあんぽう)」も有効です。40度程度に温めた蒸しタオルを5分ほどまぶたの上に乗せることで、マイボーム腺の脂の詰まりを溶かし、血行を促進して霰粒腫の予防に繋がります。日々の小さな積み重ねが、厄介なものもらいに対する最大の防御策となるのです。
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眠れない夜を乗り切るためのセルフケア
つらい不眠の症状を根本的に改善するためには専門医の助けが必要な場合もありますが、日々の生活の中で自分自身でできる睡眠の質を高めるための工夫も非常に重要です。薬だけに頼るのではなく生活習慣を見直し眠りを妨げる要因を一つずつ取り除いていくこと。それが健やかな眠りを取り戻すための土台となります。ここでは今日から始められる効果的なセルフケア「睡眠衛生指導」のポイントをいくつかご紹介します。まず最も基本となるのが「睡眠のリズムを整える」ことです。毎日できるだけ同じ時刻に起床し同じ時刻に就寝することを心がけましょう。休日でも平日の起床時刻との差を2時間以内にとどめるのが理想です。そして朝起きたら必ず太陽の光を浴びること。朝日を浴びることで体内時計がリセットされ、夜自然な眠りを誘うホルモン「メラトニン」が分泌されやすくなります。次に「寝室の環境」を見直しましょう。寝室は眠るためだけの静かで暗く涼しい空間にすることが大切です。スマートフォンやテレビなどを寝室に持ち込むのはやめましょう。画面から発せられるブルーライトは脳を覚醒させメラトニンの分泌を抑制してしまいます。寝る前の1時間はデジタルデバイスから離れ読書やヒーリング音楽を聴く、アロマを焚くなど心身がリラックスできる入眠儀式を持つのがおすすめです。また「食事」や「飲み物」にも注意が必要です。就寝前の3時間以内には食事を済ませるようにし胃腸に負担をかけないようにします。カフェインを含むコーヒーや紅茶、緑茶は覚醒作用があるため午後以降は避けた方が賢明です。寝酒としてアルコールを飲む人もいますがアルコールは寝付きを良くする一方で睡眠の後半部分を浅くし中途覚醒の原因となるため逆効果です。そして「適度な運動」も質の良い睡眠には不可欠です。日中にウォーキングなどの有酸素運動を30分程度行うと、心地よい疲労感がスムーズな入眠を助けてくれます。ただし就寝直前の激しい運動は交感神経を興奮させてしまうため避けましょう。
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家庭でできること、マイコプラズマの感染拡大を防ぐために
家族の誰か、あるいは自分自身がマイコプラズマ感染症と診断された場合、適切な治療を受けると共に、家庭内や学校、職場での感染拡大を防ぐための対策を講じることが社会的な責任として求められます。マイコプラズマの主な感染経路は、咳やくしゃみなどのしぶきに含まれる病原体を吸い込む「飛沫感染」と、病原体が付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」です。これらの経路を断つことが、予防の基本となります。まず、感染者は症状が落ち着くまで、可能な限りマスクを着用することが最も重要です。咳やくしゃみをする際は、マスクがない場合でもティッシュやハンカチ、あるいは肘の内側で口と鼻をしっかりと覆う「咳エチケット」を徹底しましょう。また、家族全員が、石鹸と流水によるこまめな「手洗い」を習慣づけることが非常に効果的です。特に、外出先から帰宅した時、食事の前、トイレの後などは必ず行いましょう。アルコールベースの手指消毒剤も有効です。感染者が使用したティッシュは、蓋つきのゴミ箱にすぐに捨て、部屋は定期的に窓を開けて「換気」し、空気の入れ換えを行いましょう。洗面所や風呂場のタオルは、家族内でも共用を避けるのが賢明です。感染者が使った食器類は、通常通り食器用洗剤で洗えば問題ありませんが、心配な場合は分けて洗うとより安心です。一方、感染者本人が家庭で療養する際のセルフケアも早期回復には欠かせません。何よりも「十分な休養と睡眠」をとり、体力の回復に努めることが大切です。発熱や咳によって体内の水分が失われやすいため、水やお茶、経口補水液などでこまめに「水分補給」を行い、脱水を防ぎましょう。食事は、消化が良く栄養価の高いものを、無理のない範囲で摂るようにします。また、空気が乾燥すると咳が悪化しやすいため、「加湿器」を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして、部屋の湿度を50~60%程度に保つと、喉の負担が和らぎます。マイコプラズマ感染症には、インフルエンザのような予防接種(ワクチン)はありません。だからこそ、日頃からの基本的な感染対策が、自分自身と周りの人々を守るための最も確実な方法となるのです。
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女性の不眠、更年期やホルモンが原因かも
女性のライフステージはホルモンバランスのダイナミックな波と共にあります。そしてこのホルモンの波が睡眠の質に大きな影響を与えることは少なくありません。特に40代半ばから50代にかけて訪れる「更年期」は、多くの女性がこれまで経験したことのないような不眠の悩みに直面する時期です。もしあなたがこの年代の女性で原因不明の不眠に悩まされているとしたら、その背景には女性ホルモンの減少が深く関わっているかもしれません。更年期になると卵巣の機能が低下し女性ホルモンである「エストロゲン」の分泌が急激にそして大きく揺らぎながら減少していきます。このエストロゲンは単に妊娠や出産に関わるだけでなく、自律神経のバランスを整えたり脳内のセロトニンなどの精神を安定させる物質の働きをサポートしたりする重要な役割を担っています。そのためエストロゲンが減少すると自律神経のコントロールがうまくいかなくなり、様々な心身の不調が現れるのです。不眠もその代表的な症状の一つです。更年期特有の症状として知られる「ホットフラッシュ」は不眠の直接的な引き金になります。夜中に突然顔がカッと熱くなり大量の汗が噴き出し動悸がすることで目が覚めてしまい、そこからなかなか寝付けなくなってしまいます。また自律神経の乱れから不安感や焦燥感、気分の落ち込みといった精神的な症状も現れやすくなります。これらのネガティブな感情が入眠障害や中途覚醒の原因となることも少なくありません。さらにエストロゲンの減少は睡眠の質そのものにも影響を与えます。深いノンレム睡眠が減少し眠り全体が浅くなる傾向があることも研究で示されています。もしこのような不眠の症状と共にホットフラッシュや肩こり、疲労感、気分の浮き沈みといった他の更年期症状にも悩まされている場合は一人で抱え込まずに「婦人科」に相談することをお勧めします。婦人科ではホルモン補充療法や漢方薬、あるいは向精神薬などを用いてつらい更年期症状を和らげる治療を受けることができます。