大人の蕁麻疹に熱?危険なサインかも
突然、皮膚に蚊に刺されたような赤い膨らみが現れ、それがみるみるうちに地図のように広がり、耐え難いほどの強いかゆみに襲われる。多くの人が一度は経験したことのある、この厄介な皮膚症状が「蕁麻疹(じんましん)」です。通常、蕁麻疹は皮膚の症状だけで、数時間から長くても一日以内には、跡形もなく消えてしまうのが特徴です。しかし、もし、その蕁麻疹と同時に「発熱」が見られた場合、それは単なる皮膚のトラブルとして、決して安易に考えてはいけません。大人の蕁麻疹に発熱が伴う時、その背後には、より深刻な、全身性の病気が隠れている可能性があり、時に、迅速な医療対応が求められる、危険なサインとなり得るのです。例えば、細菌やウイルスによる「感染症」が原因で、そのアレルギー反応の一つとして、蕁麻疹と発熱が同時に起こることがあります。あるいは、特定の薬剤に対するアレルギー反応(薬疹)や、膠原病などの「自己免疫疾患」が、その正体である可能性も否定できません。そして、最も警戒すべきなのが、全身に及ぶ重篤なアレルギー反応である「アナフィラキシー」の初期症状として、蕁麻疹と発熱が現れるケースです。この場合は、息苦しさや血圧の低下などを伴い、命に関わる危険性があります。蕁麻疹と発熱。この二つの症状が同時に現れた時、それは、皮膚だけでなく、あなたの体の中で、より大きな異変が起きていることを示す、重要な警告です。自己判断で市販のかゆみ止めを塗って様子を見る、といった対応は禁物です。できるだけ早く、医療機関を受診し、その原因を正確に突き止めることが、何よりも重要となるのです。