不整脈の症状を自覚し、循環器内科を受診しようと決めた際、次に悩むのが「どの病院を選べばよいか」という点です。病院には、身近なクリニック(診療所)から、複数の診療科を持つ総合病院、大学病院まで様々な規模や機能の施設があります。それぞれの特徴を理解し、自分の状況に合った病院を選ぶことが、スムーズな診断と治療に繋がります。まず、最初の窓口として適しているのが、近隣にある「循環器内科を標榜するクリニック」です。クリニックの利点は、何と言ってもアクセスの良さと受診のしやすさです。多くの場合、12誘導心電図やホルター心電図、心エコー検査といった不整脈の初期診断に必要な基本的な検査設備を備えています。まずはクリニックで診察を受け、不整脈の有無や種類、緊急性を判断してもらうのが良いでしょう。心配のない不整脈であったり、薬物治療でコントロール可能な状態であったりすれば、そのままかかりつけ医として継続的にフォローしてもらうことができます。一方、クリニックでの検査の結果、より精密な検査や専門的な治療が必要と判断された場合には、医師が適切な「総合病院」や「専門病院」への紹介状を書いてくれます。総合病院や大学病院の強みは、高度な医療設備と各分野の専門家が揃っている点です。例えば、不整脈のメカニズムを詳細に調べる「電気生理学的検査(EPS)」や、根治治療である「カテーテルアブレーション」、ペースメーカーや植え込み型除細動器(ICD)といったデバイス治療は、専門的な設備と技術を持つ病院でなければ行えません。また、心臓以外の病気を合併している場合でも、院内の他科と連携して総合的な治療を受けられるというメリットがあります。病院選びの一つの目安として、日本循環器学会が認定する「循環器専門医」が在籍しているかどうかを確認するのも良い方法です。専門医は、不整脈を含む循環器疾患全般において、標準的で質の高い医療を提供する能力を持つと認められた医師です。まずは通いやすいクリニックで相談し、必要に応じてより高度な医療機関へ繋いでもらう。この流れが、多くの人にとって最も合理的で安心な病院選びの進め方と言えるでしょう。
不整脈を診てもらう病院選びのポイント