つらい坐骨神経痛の症状に悩み、ようやく病院へ行く決心がついた。しかし、いざ診察室に入ると、緊張してしまって、自分の症状をうまく医師に伝えられなかった。そんな経験はありませんか。限られた診察時間の中で、医師に、あなたの体の状態を正確に、そして効率的に理解してもらうためには、実は、病院に行く「前」の、ほんの少しの準備が、非常に大きな役割を果たします。ここでは、受診がスムーズに進み、より的確な診断に繋がるための、準備のポイントを解説します。まず、最も重要なのが、「自分の症状を整理しておく」ことです。医師が、あなたの状態を把握するために、必ず質問するであろう項目について、予め答えを考えておきましょう。具体的には、以下の五つのポイントを、簡単なメモに書き出しておくと万全です。①「いつから痛むか」:症状が始まった時期(例:一ヶ月前の朝から)。②「どこが痛む・しびれるか」:痛みの範囲を具体的に(例:右のお尻から、太ももの裏側を通って、ふくらはぎの外側まで)。③「どんな痛みか」:痛みの性質を表現する(例:電気が走るような鋭い痛み、ジンジンとしびれる感じ)。④「どんな時に痛みが強くなるか」:症状が悪化する特定の動作や姿勢(例:前かがみになると痛い、長く歩くとしびれが強くなる)。⑤「これまでに行った対処法と、その効果」:市販の薬を飲んだか、マッサージに行ったか、そしてそれで症状は変わったか。これらの情報を、紙に書いて持参するだけで、問診は驚くほどスムーズに進みます。次に、「服装」にも少しだけ配慮しましょう。レントゲン撮影の可能性を考え、金具やボタンの少ない、着脱しやすい服装で行くと、検査がスムーズです。また、医師は、あなたの歩き方や、脚の動きなども診察するため、動きやすい服装であることも望ましいです。そして、もし過去に、腰に関する病気(ぎっくり腰など)で治療を受けたことがある場合や、他の病気で服用している薬がある場合は、その情報もまとめておきましょう。「お薬手帳」を持参するのも良い方法です。これらの準備は、決して難しいことではありません。しかし、この一手間が、医師の診断の精度を高め、結果的に、あなた自身が、より早く、より適切な治療へとたどり着くための、確かな道しるべとなるのです。