糖尿病の疑いが生じた際、「内科」と「糖尿病内科」、どちらを受診すべきかという疑問は多くの人が抱くものです。どちらも糖尿病を診てくれる診療科ですが、その役割には明確な違いがあり、自分の状況に合わせて選ぶことが、より良い治療への近道となります。まず「一般内科」は、いわば健康に関する総合的な窓口、プライマリケアの拠点です。風邪から生活習慣病まで、幅広い内臓の病気の初期診断と治療を行います。健康診断で異常を指摘されたばかりの段階や、まだ自覚症状が軽い段階で、そもそも自分が糖尿病なのかどうかを確定させるためには、まず内科を受診するのが最も一般的で適切な選択です。内科医は必要な検査を行い、診断を下し、軽度の糖尿病であれば食事療法や運動療法、基本的な薬物療法による治療管理を行います。そして、治療が複雑化する場合や、より専門的な介入が必要だと判断した場合には、専門科への橋渡しの役割を担います。一方で「糖尿病内科」は、その名の通り糖尿病の診療に特化した専門科です。糖尿病専門医が在籍し、診断はもちろんのこと、血糖コントロールが難しい症例、インスリン注射が必要な症例、様々な合併症を抱える患者の管理など、より高度で専門的な医療を提供します。また、最新の治療薬や治療機器に関する情報も豊富で、個々の患者に合わせたオーダーメイドの治療計画を立てることが可能です。さらに、糖尿病内科には管理栄養士や糖尿病療養指導士などの専門スタッフが常駐していることが多く、食事や運動、自己血糖測定といった日常生活の管理について、チームで手厚くサポートしてくれる点も大きな特徴です。では、どちらを選ぶべきか。もしあなたが「糖尿病かもしれない」という不安を抱えている段階なら、まずは身近な内科へ。そこで診断を受け、基本的な指導を受けるのが良いでしょう。すでにはっきりと糖尿病と診断されていて、血糖値のコントロールに難渋している、合併症が心配、あるいは専門家の下で集中的に治療に取り組みたいと考えているのであれば、糖尿病内科を受診することが望ましいと言えます。自分の病状のフェーズを理解し、適切な診療科を選ぶことが、長期にわたる糖尿病との付き合いにおいて非常に重要なのです。
内科と糖尿病内科その役割の明確な違い