全ての始まりは、些細な腰の違和感でした。最初は、デスクワークの疲れが溜まっているだけだろうと、軽く考えていました。しかし、その違和感は、数週間後には、右のお尻から太ももの裏にかけての、鈍い痛みに変わっていきました。そして、ある朝、靴下を履こうと前かがみになった瞬間、右足に、まるで灼熱の鉄の棒を突き刺されたかのような、激烈な痛みが走ったのです。その場にうずくまり、しばらく動くことができませんでした。それからの日々は、まさに痛みとの戦いでした。普通に歩くことさえ困難で、椅子に座っていると、お尻がえぐられるように痛む。夜は、どんな体勢をとっても痛みが和らがず、ほとんど眠ることができませんでした。インターネットで症状を調べると、出てくる言葉は「坐骨神経痛」。そして、その原因として挙げられる「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」といった、重々しい病名が、私の不安をさらに煽りました。何科に行けばいいのか。整形外科か、それとも近所の整骨院か。迷った末に、私が選んだのは、近所にある、少し大きな整形外科のクリニックでした。理由は単純で、「まずは、この痛みの『本当の原因』を知りたかった」からです。整骨院でマッサージを受けるのは、原因が分かってからでも遅くはない、と。診察室で、震える声で症状を説明すると、医師は丁寧に私の話を聞き、いくつかの神経学的なテスト(脚を上げたり、アキレス腱を叩いたり)を行った後、「おそらく、ヘルニアでしょう。念のため、MRIを撮ってみましょう」と言いました。後日、提携病院で撮影したMRIの画像には、腰椎の四番目と五番目の間で、見事に飛び出した椎間板が、神経を圧迫している様子が、くっきりと映し出されていました。自分の体の中で何が起きているのかを、目で見て理解できた時の、あの不思議な安堵感は、今でも忘れられません。原因が分かれば、あとは治療に専念するだけです。処方された薬と、理学療法士によるリハビリを数ヶ月続けた結果、あれほど私を苦しめた痛みは、嘘のように消えていきました。あの時、安易な道を選ばず、まずは専門医による「正確な診断」を求めて、整形外科の扉を叩いた自分の判断は、決して間違いではなかった。そう、心から思っています。