お腹の不調は誰にでも起こりうる身近な症状ですが、その痛みの中には、時として緊急の対応を要する危険な病気が隠れていることがあります。その代表格が「虫垂炎」です。一般的には「盲腸」という俗称で知られるこの病気は、多くの人がその名を知りながらも、いざ自分がそれらしい症状に見舞われた時、「一体、何科の病院へ行けばいいのだろう?」と迷ってしまうのではないでしょうか。突然の腹痛に襲われ、不安な気持ちでスマートフォンを握りしめている方のために、結論から先にお伝えします。虫垂炎を専門的に診断し、治療する診療科は「外科」あるいは「消化器外科」です。なぜなら、虫垂炎は進行すると手術が必要になる可能性が高い病気であり、その手術を担当するのが外科医だからです。最初から外科を受診できれば、診察から検査、そして必要であれば手術に至るまで、スムーズな連携のもとで治療を進めることができます。しかし、夜間や休日で専門の外科が開いていなかったり、そもそも近所に外科を標榜するクリニックがなかったりする場合もあるでしょう。また、自分の症状が本当に虫垂炎なのか確信が持てず、外科のドアを叩くのをためらってしまうこともあるかもしれません。そのような場合に、次に有力な選択肢となるのが「内科」や「消化器内科」です。内科医は腹痛の原因を幅広く探るプロフェッショナルです。問診や触診、血液検査、超音波(エコー)検査などを通じて、その腹痛が虫垂炎によるものなのか、あるいは胃腸炎や胆石症など他の病気によるものなのかを鑑別診断してくれます。そして、診察や検査の結果、虫垂炎の疑いが強いと判断されれば、責任を持って提携している病院の外科へ紹介してくれます。緊急性が高いと判断されれば、その日のうちに紹介先の病院でさらに詳しい検査を受け、入院となるケースも少なくありません。大切なのは、「何科に行けば完璧か」と悩み続けて受診のタイミングを逃してしまうことです。虫垂炎は、放置すると虫垂が破れて腹膜炎という命に関わる重篤な状態に進行する恐れがあります。我慢できないほどの痛みがある、夜間でどこに相談していいか分からないという場合は、迷わず「救急外来」を受診してください。まずは医師の診察を受けること、それが最も重要な第一歩なのです。