腹痛は非常にありふれた症状であるため、つい我慢して様子を見てしまいがちです。しかし、その痛みの中には、一刻も早い受診が必要な虫垂炎のサインが隠れていることがあります。治療の遅れは重症化に直結するため、危険な腹痛を見極め、適切なタイミングで正しい診療科を受診することが何よりも重要です。虫垂炎の最も特徴的な症状の一つに、「痛みの移動」があります。発症初期は、みぞおちのあたりや、おへその周りに、漠然とした鈍い痛みとして感じられることが多く、この段階では胃痛や食べ過ぎと勘違いされがちです。しかし、数時間から半日ほどかけて、その痛みは徐々に右下腹部へと移動し、鋭い痛みに変わっていきます。この痛みの移動パターンは、虫垂炎を強く疑うべき非常に重要なサインです。この特徴的な症状に加えて、37度から38度程度の発熱、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状が伴うようであれば、さらにその可能性は高まります。歩いたり、体を動かしたりすると痛みが響く、咳やくしゃみをすると右下腹部に激痛が走る、といった症状も典型的です。もし、このような症状が一つでも当てはまるなら、それは様子を見ている場合ではありません。速やかに医療機関を受診すべきタイミングです。では、何科を受診すればよいのでしょうか。前述の通り、虫垂炎の専門科は「外科」または「消化器外科」です。日中の診療時間内であれば、これらの科を標榜しているクリニックや総合病院を受診するのが最もスムーズです。しかし、最も避けなければならないのは、「何科に行くべきか」という問題に悩み、貴重な時間を浪費してしまうことです。もし近くに外科がなかったり、どの科にかかるべきか判断に迷ったりする場合には、ためらわずに「内科」や「消化器内科」を受診してください。腹痛を診る専門家として、適切な初期診断を行い、必要であれば速やかに外科へ紹介してくれます。そして、痛みが我慢できないほど強い、お腹全体が硬くなっている、高熱でぐったりしているといった場合は、夜間や休日であっても、迷うことなく「救急外来」に駆け込むか、救急車を呼ぶことを検討してください。自分の体のサインを軽視せず、専門家の判断を仰ぐ勇気が、あなた自身を守ることに繋がるのです。
その腹痛は虫垂炎かも!受診すべきタイミングと科の選び方