不整脈の診療において、なぜ循環器内科が中心的な役割を担うのでしょうか。その理由は、循環器内科が心臓の「電気的な活動」と「構造的な問題」の両方を専門的に評価できる唯一の科だからです。不整脈は、心臓の動きを司る電気信号の異常によって引き起こされますが、その背景には、心臓の筋肉や弁、血管などに構造的な問題が隠れていることが少なくありません。循環器内科では、これらの問題を総合的に診断するための専門的な検査が行われます。まず基本となるのが「12誘導心電図」です。これは受診時に行う検査で、心臓の電気的な活動を記録し、不整脈の種類や心筋梗塞などの兆候を調べます。しかし、不整脈は常に起きているとは限らないため、この検査だけでは異常が見つからないこともあります。そこで重要になるのが「ホルター心電図」です。小型の心電計を24時間身につけ、日常生活の中での心電図を記録することで、時々しか出現しない不整脈を捉えることができます。さらに、不整脈の原因となる心臓の基礎疾患の有無を調べるために「心エコー(心臓超音波)検査」が行われます。この検査では、心臓の大きさや壁の動き、弁の状態(弁膜症)、心筋の異常(心筋症)、血栓の有無などをリアルタイムで観察することができます。これらの検査により不整脈の診断と重症度の評価が行われ、治療方針が決定されます。治療法も多岐にわたります。薬物治療では、脈を整える抗不整脈薬や、心房細動の際に脳梗seudo塞を予防する抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)などが用いられます。より根治的な治療法として「カテーテルアブレーション」があります。これは、足の付け根などから細い管(カテーテル)を心臓まで挿入し、不整脈の原因となっている異常な電気回路を高周波で焼き切る治療です。また、脈が極端に遅くなる徐脈性の不整脈に対しては、胸に「ペースメーカー」を植え込み、心臓に電気刺激を送って適切な脈拍を保つ治療が行われます。これらの専門的な検査と治療は、心臓の構造と機能を知り尽くした循環器内科医だからこそ適切に実施できるのです。
なぜ循環器内科が専門なのか?行われる検査と治療